映像&トーク 「市民ビデオが発信する『私』」 (2013)

自分史フェスティバル2013


2013自分史_0034_編集s

撮影:河野裕昭


講師: 小林はくどう(ビデオ作家・市民がつくるTVF代表、成安造形大学客員教授)

時間: 10:50-11:50

会場: ホール

内容: 小林はくどう氏の紹介

小林はくどう氏は、日本のビデオアートのパイオニアの一人。1970年代に山口勝弘、中谷芙二子、マイケル・ゴールドバーグ各氏らと「ビデオひろば」を結成。ビデオによるコミュニケーションの可能性に着目、早くから「市民ビデオ」を提唱し、大林宣彦、羽仁進両映画監督などと「東京ビデオフェスティバル」(TVF)審査員を務めてきた。現在、「NPO法人市民がつくるTVF」代表理事として、34年間にわたって市民が創るビデオ作品を審査するとともに「はくどうビデオ学校」を主宰、ビデオ文化の発展に尽力している。

「市民ビデオが発信する『私』」では、ビデオ映像で制作した「ビデオ自分史」作品を紹介しながら、ビデオによる自分発信の意義とその可能性について語る。

(「市民がつくるTVF」ホームページで自分史ビデオ作品を見ることができる)

  

<小林 はくどう様からいただいたコメント>
市民の自分史ビデオは3分でも大傑作だ

結婚式ビデオを見せられることがある。たいてい編集が甘いから長すぎて途中で退屈してしまう。もう1つは美辞麗句に溢れているからだろう。

同じことが叙勲などを記念に制作された自叙伝ビデオにも言える。
業者の方が製作したのだろう誉め讃える内容が多いし、人物の魅力に入り込んでいない。

その点では市民のビデオが遥かに面白い。平凡に暮らして来た人が普段着での我が人生満載である。

1つ紹介しよう。70歳の女性が自分の故郷に戻り,波瀾万丈の人生を語る作品である。そしてその長さである。3分。即席麺を待つ間に見終わる時間であるが,70年の歴史を充分に表現している。この程度でいいのだと嬉しくなる。制作者は息子さん。

お二人の温もりが伝わって来る傑作だ。未来の子孫に伝えようとすると、いかに偉大か語りたくなるし,つい長くなりがちだ。あっさりと等身大の自分を自然体で見せればいいのだ。

東京ビデオフェスティバルの名作もいろいろお見せしますので、お楽しみに。

 愛媛県下の中学校行事で2月に行うのに“少年式”がある。14歳になった少年少女を祝う式典で50年も続いているという。大抵は卒業生の講演だったり、スポーツ合宿であるが、松山市のある中学では「自分史”大会を行っている。父母を招待して子供たちは“14歳のわが人生”を語るのだ。映像はアルバム写真で構成され,スクリーンにはそれぞれの家族の絆物語が展開される。

たちまち講堂は母親たちの感涙とすすき泣きで溢れる。自分史をクッションにして家族が語り合うのはいいものだ。熟年者だけが自分史の表現者ではないのだ。大学の授業で学生に映像自分史をつくらせてみたい。

本編は11時50分で終了しますが,その後昼休みを使い,12時半まで八王子市内で勉強している“小林はくどうビデオ学校”の生徒たち熟年者の作品を上映致します。これも面白いですよ。

◆ホールのイベント(2013): 全体スケジュール(2013)